87歳の現役税理士・越田清さんインタビュー

「なにくそ負けるか、と、ひた走ってきた人生」

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おこのみっくすマガジンでお馴染み・沼袋のこしだ歯科医院が入るKビルの3階に、「越田会計事務所」がある。所長を務めるのは越田院長先生の父上である清さん、なんと御年87歳! 記憶力の良さ、話の軽妙さ、血色の良い肌はツヤツヤ…どこをどう見ても米寿を迎える方とは思えない。12月、特に会計事務所では年末調整の忙しい時期ながら取材に応じていただき、その元気の秘密・心持ちを支えるものなどについてお話を伺った。

戦火を生き抜いた少年時代
87歳にして、今なお現役の税理士。ピンストライプの背広を粋に着こなす越田清さんは、激動の昭和を生き抜いてきた。
1927年(昭和2年)、雪深い石川県羽咋(はくい)郡志賀町に生まれた。子ども時分の記憶で真っ先に思い出すのは、小学4年生の夏、1937年(S12)に勃発した日中戦争に他ならない。出征兵士を見送り、その明くる年には、遺骨となり無言の帰還を果たした兵士たちのために、軍歌『「沈黙の凱旋」に寄す』を、白木の棺を見つめながら楽団の伴奏に合わせて歌った。物悲しいメロディーは、今も耳から離れない。勉強したくてもできない、そんな時代背景の中、志願兵として琵琶湖そばの滋賀海軍航空隊に入隊したのは、もうすぐ17歳を迎える1944年(S19)。1年間しごかれ、いざ出陣という寸前に入った『ハハ キトク』。この一本の電報が生死を分けた。赴任するはずだった広島に原爆が投下されたのは、大好きな故郷に一時的に戻った矢先のことだった。

ひょんなことから税理士の道へ
戦争が終わり、しばらく家業の農業を手伝っていたが、家を空けていた長兄が戻ることから就職口を求めていた。一にも二にも、希望は“つぶれない会社”。新聞記者をしていた従兄弟に教えられ、地元の七尾税務署の採用試験を受けたところ見事合格、図らずも税理士への道を歩むことに。その後異動した輪島税務署で東京転勤の希望が通り、浅草税務署配属となって1948年(S23)に上京した。以後、本郷・江東・板橋・大森・渋谷…と都内の税務署を渡り歩きながら税理士資格取得の勉強を続け、40歳で念願の税理士バッジを胸に掲げる。 翌年、1968年(S43)に独立。当時住んでいた中野の新井に「越田清税理士事務所」の看板を構えた。アシスタントは奥さんが務め、高度成長期の流れとともに依頼主は増え続け、半年後には従業員を雇い入れなければならないほど多忙を極めた。お客さんには丁寧に、税法以外の相談事にも親身になって応えた。「息子二人のためにも頑張らにゃいかん、というのがあるわね。男の子というのは、親父の背中を見て、自分も働こうとか勉強しようと思うもの」と当時を懐かしむ。長男の勝則さんは父と同じ道を歩み、現在は東京税理士会・中野支部長を務める。そして次男の敏弘さんは歯科医に。三者三様、同じビルを拠点に日々奔走している。

玄米と咀嚼が健康のモト
海軍航空隊時代に教えられ今も守る教訓が二つある。一つは、「咀嚼は健康のモト」。訓練中の食事のたびに班長から唱和させられ始めたことながら、習慣づいて今も食事のたびにひと口30回噛んでいる。お蔭で入れ歯は一本もなく、歯科医の次男には驚かれている。さらに一人暮らしをする越田さんは玄米を自分で炊き、弁当も持参する。「孫娘に玄米用の炊飯器をプレゼントされて、毎日うまい玄米を食べてるよ」と目を細めた。酒粕を入れた野菜たっぷりの味噌汁も得意。お風呂では化繊でゴシゴシと肌をしごいて皮膚を強め、ここ5年くらい風邪をひいたことはないそうだ。ただし、肝臓をいたわろうと毎日の晩酌を週3回に減らしたとか(日本酒党)。
もう一つの教訓は、教官から色紙に込められた「なにくそ、負けるか」の心持ち。戦前・戦中・戦後、どこを切り取っても、戦争を知らない私たちには想像を絶する苦労があっただろうが、「なにくそ、負けるか」魂で局面を乗り越えてきたと言う。苦楽を共にしてきた奥さんは認知症を患い施設にいる。「女房が病に倒れても、僕は仕事を頑張らにゃいかん、なにくそ負けるか」と歯を食いしばってきた。そして、「女房より後に死ななきゃいけないのは、僕の運命だもんねえ」と、破顔一笑した。

★相続税・確定申告のご相談は3階の「越田会計事務所」へ
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越田会計事務所
〔住所〕中野区沼袋2-30-6 Kビル3F
〔電話〕03-3385-3741

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投稿日時 2014-12-21

カテゴリー Vol36, おこのみっくすマガジン

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