酸素カプセルの部屋の巻
ひとりの男の身に起こったドキュメントストーリー。語るにあたって、まず言っておきたい。これは、ガチでノンフィクション、1ミリも脚色を加えていない正真正銘の実話である——。
短い睡眠時間・慢性的な運動不足・蓄積され続けるストレス・深酒・ヘビースモーカー・バランスのバの字もない欲望まみれの食事・自堕落過ぎる……。ありとあらゆる不健康ワードの称号を手にし、しかも全く改善しようとも思わず今まで生きてきた不摂生のカタマリのような男・それが我がおこのみっくす編集部を束ねる藤原秋一編集長(58歳)その人だ。かつて新聞記者として激動の昭和の波に揉まれてきただけに、これまでの生き様は“物書き屋”としては至極当たり前の環境だったのだろう。しかし、時代は変わったのだ。喫煙場所もめっきり減った。ここでひとつ、己の身体について考えてみようじゃないか……なんて殊勝なことを考える筈もなく、遂に鉄槌がくだされた。それは、今にして思えば心優しい神様が与えてくれた「自分を見つめ直す期間」だったに他ならない。すっかり前置きが長くなってしまったが、2013年に藤原の身に起きた一連の流れをかいつまんで以下に。
1.異変
風薫る5月、いつものことながら藤原の身体は低調だった。それに加え、なんだか片方の耳の聞こえが悪くなったような気がする…。耳垢が溜まっているんだろうか、シャワーの水が入ったままなんだろうか。はじめは軽く受け止めていた。だって、調子が悪い身体には慣れっこだったから。
2.発病
疑問から確信へ。右耳がおかしい。大きなノイズ音とひどい耳鳴りがして、5月15日、近くの耳鼻科へ駆け込んだ。医師の口から放たれた恐るべきひと言…「突発性難聴の可能性があります」。たまにアーティスト等が発病を告白しているこの病、発症から3日以内にステロイド剤を投与すると治療効果が高いらしいけど、耳に異変を感じてから既に1〜2週間経っているのだ…。とりあえず、処方してもらった薬を飲んで様子を見ることにした。
3.絶望
再び同じ耳鼻科へ。最悪だ。さらに聴力が落ちている。紹介状を書いてもらい、5月22日、ついに大学病院の門を叩いた。若い医師の見立てでは、突発性難聴または急性低音障害型感音難聴。どちらかはまだ断定できないとのこと。前者なら、初期のステロイド治療を逸してしまったため回復の可能性は低い。後者ならステロイド以外の治療薬が有効かもしれない。——いずれにしろ、現状維持がいいところなのか? 「急にもっと聞こえが悪くなったらすぐにステロイド剤を投与したほうがいいかもしれない。その時は駆け付けてください」と言われ病院を後にした。なんてこった。
4.再び絶望
5月24日、その日は突然きた。右耳はほぼ聞こえない。厚い膜に覆われているようだ。すがる思いで大学病院に電話し予約を取り付けた。3日後、「なるようになるさ!」と開き直ったつもりで検査に臨んだが、意外にもまだ右耳の聴力は残存しており、徐々に徐々に右肩下がりに悪化しているグラフが画面上に。医師としては、ガクンと聴力が落ちて「治る見込みなし」と告げるほうが簡単だったかもしれない。しかし、何とか首の皮一枚つながって死刑宣告はまぬがれた。
5.停滞期
死刑宣告なんて大げさな…と人は思うかもしれないが、物書き稼業を続けてきた藤原にとってはまさに死活問題。“人の話を聞くのがメシの種”なのだから。ある企業の社長取材では、「藤原さん、インタビューのスタイル変えたの?随分と人の話をよく聞くようになったじゃない」と言われ、苦笑するしかなかった。「よく聞こえねーからジッと耳を傾けるしかねぇんだよ!」と心の中で悪態をついたことは想像に難くない。どんな目上の取材相手でも、話を遮り好奇心の赴くままに内容を掘り下げ膨らませていく取材スタイルこそが真骨頂と思い込んでいる。難聴は編集部も震撼させた。ただでさえ地声が大きいのが輪をかけて…。「機嫌悪くわめき散らす」という表現が的確な、(周りにとって)超・暗黒の時期。
6.きっかけ
7月2日、中野区の中小企業診断士の先生に、「中野東部にある酸素カプセルのヒーリングオフィス責任者と会ってくれないか」と持ち掛けられる。酸素カプセルと言えば、2002年W杯直前に骨折したベッカムが驚異の治癒力を発揮したことで有名になった。欧米諸国では医療機器として認知されているが、日本では気圧差で法律や基準が異なり誰でも入れるただの健康機器という位置づけらしい。件の責任者は、どうすれば広く酸素カプセルの良さを知ってもらえるか考えた中で、おこのみっくすの力を借りたいという話だった。しかし、忙しさにかまけ、運命の出会いまでにその後1カ月以上も要することになる。
7.出会い
8月19日、整体師で酸素カプセルオフィス責任者の女性と初対面。妙齢の美女・Aさんは、藤原を見るなり開口一番「目がすっかり充血して肩がすぼまって背中が丸くなっています。苦しくないですか?体調についていつでもご相談くださいね」と。酸素カプセルのPRについて相談に乗るはずが逆に心配されてしまったが、柔らかで上品な物腰のAさんを前にすると、うっかり悩み事をすべて吐露したくなる衝動にかられた。Aさんに酸素カプセルについて話を聞くうち、耳の聞こえの悪さにイラつきながらも「ひょっとして耳に効くかも?」と閃くものがあった。しかし、そのまま時間が流れ2カ月を経て…。
8.光明
10月24日、前述の診断士の先生に引っ張られ、遂に酸素カプセルに入ることになった。確かに、PRするには自分で体感するのが手っ取り早い。「耳がもっと悪くなったら…」という怖さがあったが、Aさんの微笑みを前に沈黙。宇宙カプセルのような機器に身を横たえた。緊張した。気圧の変化による耳抜きもうまくできるか不安だった。…が、結果的にいつの間にか熟睡していた。背中がホカホカと心地よく深い眠りにいざなわれたようだ。Aさんは笑って答えてくれなかったが、大イビキが酸素カプセル越しに漏れ聞こえていたらしい。第一印象は「自分の身体に合っているのかも?」だった。その4日後、大学病院で検査すると、これまで右肩下がり一方の聴力がわずかながら回復しているではないか!?驚きを隠せない医師に酸素カプセルでの一幕を語ったところ、「処方する薬を飲んで酸素カプセルも続けてみて」とのこと。この若い医師は高圧酸素治療の文献も相当数読み込んでいたらしい。
9.確信
それから12月27日までの間に、計9回酸素カプセルに入った。週に一度入りたいところだが、仕事上なかなかそうもいかない。ちょっと間が空くと、Aさんから励ましのメールが届く。メールの内容は後述するが、この酸素カプセルの部屋に通うにつれ、Aさんの誠実さと人をいたわる気持ちが身に染みる。彼女が毎回切々と語るのは「酸素カプセル頼みでは体調は良くなりません。姿勢を正して自分自身で良くなるよう身体に働きかけなくてはなりません」。酸素カプセルに入る前に、整体指導を受ける。家庭でできるポーズを教えてもらい、毎朝実施するようになった。しかも、朝食に気を遣うようにもなった。朝っぱらからコッテリとしたコンビニ弁当を食らっていたあの藤原が、うどん半玉におろし生姜とネギをたっぷり入れたりして…なんかのテレビ番組じゃないけど、恐るべき劇的ビフォーアフターである。58歳にして、やっと健康への扉をノックしたのだ。
——酸素カプセルのヒーリングオフィスはシステムを組みなおす時期に差し掛かり、また2月末まではすでに予約でいっぱい! 読者の皆さんにご迷惑をかけるかもしれず、敢えて連絡先は伏せておくこととした。次号以降、赤裸々にその姿を見せてくれるに違いない。ご期待あれ!
■追記
藤原の右耳は良くなり続けている。中国針や漢方薬にもお世話になりつつ、酸素カプセルを中心に回り始めたライフスタイル。健康体を取り戻すためにありがたく続けていく心づもりだ。本誌発行の直後、1月20日に大学病院へ行く。嫌でたまらなかった聴力検査の結果が楽しみでならないと言う。次号おこのみっくすマガジン(3月中旬発行)で明らかにしよう。(冨澤結子/記) ひとりの男の身に起こったドキュメントストーリー。語るにあたって、まず言っておきたい。これは、ガチでノンフィクション、1ミリも脚色を加えていない正真正銘の実話である——。
藤原が受けた、酸素カプセルの部屋・Aさん名言集(メールより抜粋)
◇身体は、天に借りた修理困難なレンタカーのようなもので、不整備や無理をすれば走らなくなります。
◇意識の中で自己管理の比重は仕事と同様でなければ身は持ちません。壊したら使えない。それが現実ではないでしょうか。
◇人間と酸素の付き合いは薬の歴史よりはるかに長く、身体に無理がありません。
◇背中が丸いだけで肺活量(酸素量)は半減します。
◇寸暇を惜しんで身体のメンテナンスに勤しんでいただきたいのです。生きることはいつでも命がけ。
◇「面倒」と思う気持ちが、筋肉をしぼめ命を縮めます。
「身体にいいよ」と家族や知り合いから教えられた健康知恵袋! また、ご自身で実践している・体験した健康の秘訣! どんな些細なことでも構いません、おこのみっくすにお教えください! みんなで分かち合い、心身ともに健康になりましょう!!
例えば……●咳止め ●喉の痛み ●風邪 ●花粉症 ●水虫 ●鼻づまり・鼻水●頭痛 ●食べ過ぎ ●食欲不振 ●しもやけ ●切り傷 ●打ち身・捻挫・突き指 ●むくみ ●目の疲れ ●肩こり・腰痛 ●足がつったとき…などのツラさをやわらげる・快方に向かわせる民間療法や治療室、究極の癒しまでドシドシお寄せください!(いくつでも大歓迎。匿名可)
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