作家・宮宏一郎さんの横顔
宇宙から人体まで壮大なストーリー!
人 と目を合わせて話ができない、同じ行動を繰り返すなど、自閉症は人とのコミュニケーションが難しい。宮宏一郎さん(38歳)が、言葉を話し始めたのは2歳 3ヵ月と遅かったそうだ。幼い頃から、電車が好きで本物そっくりに絵を描いて、世界中の国旗を覚えたという。 平日は、朝から自宅にほど近い作業所に通 い、公園清掃や封入などの軽作業を終えて、夕方4時には帰宅。月に1度、作業所のクラブやアトリエぱんげあで絵を描いたり、卓球を楽しむ。9歳から続けて いる卓球は東京都障害者スポーツ大会で準優勝するほどの腕前だ。 1月23日、作業所の絵画クラブにお邪魔した。隣の人と話したり、先生に見せたりして、 14人の男女が絵を描いていた。その中で、黙々と画用紙に向かっているのが宮さんだった。「宮さん、こんにちは。ちょっとお話を聞いてもいいですか?」と たずねると、壁時計を見るなり「2時30分から!」と即答。近づいて絵を見せてもらうと、ロケットや自動車などの乗り物、小人のような男の子や女の子が登 場し、画用紙をしっかり押さえて筆圧強くえんぴつで描いていく。2時30分を過ぎた。「お話いいですか?」「あと10分」。もう少し待つことに。「話して いい」と宮さんから声がかかった。絵の区切りがついたようだ。作品の説明をしてもらうことに…。「このタイムマシンは、時速12,800。マッハ 10!! 東京からアメリカまで1時間で行く」と、一気に話しはじめた。説明が終わると、宮さんはまた絵に向かい始めた。幼い頃から、宇宙や化学、動物な どに興味を持ち図鑑を読みふけり、絵を描きはじめたのは中学生から。以来25年あまり。昨年のヨーロッパ巡回展には5点出品し、オランダのオープニング式 典へ参加。1974年中野生まれ、中野育ち。
社会福祉法人 愛成会
中野区には、18の社会福祉法人がある。今 年で53年目を迎える愛成会は、知的障害のある人たちに向けた入所・通所施設や支援センターなどを運営し、地域の人たちとの交流もあるカフェやアトリエな ど多方面なサービスを提供している。また2008年、アール・ブリュットの作品を通じて、障害者への理解を深めるとともに地域への社会貢献をしようと野方 やサンモールやブロードウェイなど地元商店街と協力した展示会も開催。2011年にはアール・ブリュットのヨーロッパ巡回展日本事務局を立ち上げ、中野か ら新しい芸術を発信中!
●ふらっとなかの
ふらっとなかのに通う利用者さんは、工房でパンや豆富を作ったり、カフェでレジを打ったり、ショップで手づくり小物の販売やものづくりをしたり、スタッフと一緒に働く。地元の人たちがお昼を食べに、買い物に来たり、ゆったりと時間が流れている。
■障害者支援施設[通所]ふらっとなかの
生活介護事業(20人定員)、就労継続支援B型
事業(20人定員)
中野区本町5-40-14 TEL03-6805-6580
カフェ10:00~16:00 土日祝休み
●アトリエぱんげあ
だれもが楽しくオープンに創作活動ができるスペース、アトリエ「ぱんげあ」には、年齢、障害、中野区内外を問わず毎回多くの人が参加する。月1回のアトリエ活動、写生など外出企画や展覧会の開催などを行って今年で9年目。
☆アトリエ活動は、月1回日曜に開催。定員は20~30人。参加費は1,000円(画材や絵具などはご用意)。
※そのほか愛成会では、障害者支援施設「メイプルガーデン」、居宅介護支援事業所サポートセンター「くりっく」、ケアホーム、中野区障害者地域自立支援センター「つむぎ」、すこやか障害者相談支援事業所を運営している