オリーブの祭典は、 なぜ中野で行われるか?

| カテゴリー Vol41, Vol42, おこのみっくすマガジン | 投稿日時 2016-04-05

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いわきのオリーブに負けるな!
青空をみあげて、もっと元気に! もっと高く\(◎o◎) /!

 

 先日、オリーブの祭典を紹介するテレビ番組J-COM「ふるさとタイム」に出演した。女性キャスターが、私のまわりくどく暑苦しい「福島・いわきにオリーブの森をつくろう!」の叫びを受けて「ああ~、あの福島の~青空(アオゾラ)ですよね…」とコメントを挟んだ。私は絶句した。あまりに意外に自然にキャスターらしくないつぶやきで、私の思いを彼女の言葉で、しかも的確に返してくれたから!実際その後すぐに「そうだっぺ」などと、キャスター本業のセリフをアドリブで話し始めるのだが、私の胸中は(そうなのだ!あの青空のもとに、オリーブの森をいわきと中野、そして日本中が一緒になって作り上げ、そして世界中の人たちを招きたい)と何度も頷くばかりであった。
 
 収録後、女性キャスターに「青空」のくだりを問えば、「ほんの数回ですけど、がれきの撤去とかボランティアに伺ったことがあるので…」と、汗だらけで興奮状態のおじさんと距離間を保ちつつも笑顔で答え、足早に立ち去って行った。だが、私は未練がましく「やっぱり、そうか、あの青空を見ていたのだね!」と、その後ろ姿に声をかけ続けていた。3.11の後、どれだけの支援の人たちが福島に入って、あの青空を目にしたことだろう? すべて、がれきの山、水没した家、行方不明者の捜索、そして原発の放射能汚染から水素爆発の恐怖と現実、我が家を捨てざるを得なかった人々の無念は、まだ洗濯物を干したまま避難を急いだ田舎の家庭の日常の風景を、ものの見事に粉砕した。鍬の入った田畑はもとより耕作放棄地でさえも、否、だからこそ、一層のもの悲しさを募らせていた。
 
 それから2カ月を経て、いわきの一角から田園を囲むように広がる丘陵、連なる山々、仰ぎ見れば一日の作業を終えて福島の夕焼けの空が、なんとまぶしくて、悔しくて…振り返れば、いわきの地をオリーブの樹でいっぱいにしたいと願う人たちの試験栽培地が茜色に輝いていた。
 
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 昨日も今日も明日も、すべては、そこからなのだ。私は昨秋に還暦を迎えたが、その頃いわきのオリーブの収穫した実から初めて搾油に成功したというニュースが飛び込んできた。約5年の年月がかかった。それも良質の、今までにない栽培北限を超えた東北・福島いわき産のヴァージンオイル。来年からは本格生産に入るという。中野のオリーブ支援の仲間たちが収穫を手伝い、オイルを絞る現場にも立ち会った。いわきの青空が浮き立つように記念写真の背景を飾っていた。
 
 今さらではあるが、次の頂はなお高い。いわきオリーブプロジェクトの代表とも何度も話し合った。99.05%が輸入に頼る国内オリーブオイル市場に一石を投じ来年以降の商品化に向けて認知度を高め、何より点在していた試験栽培地から本格生産地の確保と加工場の整備が急務となる。幸いに、中野を中心とした「オリーブのはばたきの会」は、いわきのオリーブの苗木を自宅で育て、若木になる頃いわきの地に植樹ツアーを敢行、親鳥が我が子の巣立ちを見守るように、機会あるごとにいわきへ赴き、オリーブの成長を肌で感じて、オリーブ農作業に汗してきた。
 
 「中野でオリーブの祭典を開こう!」そして…自ら育てたオリーブの実から自ら搾りたてのオイルを造り味わう喜びを、もっと沢山の「福島は日本のへそ」と感じられる人たちと共有したい。4年後は東京オリンピック・パラリンピックの年、多くの海外からのお客様に、中野といわきの交流物語を伝えたら、どんなふうに感じてくれるだろう? やがてオリーブの森を、世界に発信するいわきエクストラ・ヴァージンオイルの生産地として、そのオイルを使った加工品製造現場として、また今も続く帰宅困難者の憩いと作業の場として、また自然と親しみながら働く喜びにも繋がる福祉作業所の子供たちや、学校・企業のなかでストレスに苦しむ人たちの停泊地として、オリーブの樹を使ったアート工芸・創造の場として、みんなで育てていきたいと、心から思います。
 
 中野の商店街の一角の古びた惣菜屋さんのおばあさんが話してくれた…どうやったらお客さんに喜んでもらえるか、いつも何か新しい売り物ができないか、考えてるんだよ。オリーブを使った新しい料理だろ?いい機会だからいろいろ考えてみたんだけど、も一つだね。悪りいから、一口寄付したいんだけど、どこに置こうかね?すぐあたしの背丈を超えて大きくなるんだろ?オリーブは困りもんだ(笑)
 
 こんなおばあさんと、福島の青空のもと、いわきのオリーブの森で、一緒にバーベキューしたい!いわきのオリーブに負けるな!元気で行こうね、おばあちゃん\(◎o◎) /!
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▲全国各地のボランティアにも支えられ、オリーブの苗木はやがて若木に、そして収穫の時を迎える

 

2016年4月1日
おこのみっくす編集長
オリーブの祭典実行委員会委員長
藤原秋一

 
 

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